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ヘリコバクターピロリ菌とは?
日本人の約半数以上が、ピロリ菌に感染していると報告されています。ピロリ菌とは、2〜3×0.45μmの細菌で、数本のしっぽがあり,ヘリコプターのように回転させて移動することから、ヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter pylori)と名付けられました。
通常、胃のような強酸性の環境下では、ほとんどの生物は生存できません。にもかかわらず、ピロリ菌はどのようにして胃の中に入り、生きていくのでしょうか?しかもピロリ菌は、胃の中にしかいません。そして、どのようにして多くの病気に関係しているのでしょうか?
ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を多量に持っており、これを使って胃の中にある尿素をアンモニアに変化させています。
このアンモニアが胃酸を中和し、ピロリ菌が生存できる環境を作り上げているのです。ピロリ菌は、このように非常に進化した細菌なのです。ただし、ピロリ菌も胃がんの所や十二指腸のような尿素のない所では生きていけません。 ピロリ菌に感染するとまず、慢性胃炎となります。その中の一部が進行して萎縮性胃炎、さらにその一部が慢性胃潰瘍や胃がんになります。
慢性胃炎から、慢性胃潰瘍に進行するのは約2〜3%、そこから胃がんに進行するのは0.5%程度と言われています。
また、ピロリ菌に感染してから慢性胃潰瘍を発症するまでには、数十年かかると考えられています。ピロリ菌に感染すると、自覚症状として、むかつきや胃の不快感、軽い上腹部痛などが起こりますが、1週間ほどで治まり、その後は何の症状もないので、気づかない場合がほとんどのようです。
ピロリ菌の感染経路
日本では年齢とともにピロリ菌を持っている人が増えていき、
40歳以上では約75%、50歳以上では、約80%の人がピロリ菌に感染しています。ピロリ菌の感染経路は、まだよくわかっていませんが、飲み水や食べ物を介して経口感染するといわれています。
家族内での母親から子供への感染(たとえば、一度口に入れた食べ物を子供に与える)などです。ほとんどが子供の時の感染で、大人になってからの感染は少ないと言われています。
また生活環境の進歩、生活習慣の変化とともに、ピロリ菌を持っている人は減少しているのです。若い人での感染率は先進国とほぼ同等です。しかし、ゴキブリがピロリ菌を運んでいる可能性が指摘されていますので、小さな子供のいる家庭では、台所を清潔に保ち、ゴキブリの駆除を心がけることが大切です。
一方、内視鏡検査を介したピロリ菌感染が問題となっていましたが、消毒方法の改善により感染は少なくなってきています。
性的接触によるピロリ菌感染は否定的ですが、ペットからのピロリ菌感染についてはまだまだ検討が必要なようです。
また、50歳以上の方たちは、戦後の衛生状態が悪い時代に生まれ育ったため、高いピロリ菌感染率を示していると考えられています。
慢性胃炎の状態では、症状が全くない人と、胃の痛み・もたれ感・不快感等の症状が現われる人があります。また、ピロリ菌感染時に急性胃粘膜病変(AGML)という急性胃炎をおこし、激しい痛みをともなうこともあります。ピロリ菌に感染した人のうち、2〜3%の方は胃潰瘍・十二指腸潰瘍になります。潰瘍の原因は、ピロリ菌だけではなくストレス・体質などの複数の要因が重なって発症に至ると考えられます。一度潰瘍になると、くり返し潰瘍をおこすことが多いようです。こういう場合は、ピロリ菌の除菌療法の適応になります。